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ビートジェネレーションが生きた1950年代のアメリカと彼らの代表作

   

ビートジェネレーション

photo credit: N▲POLEON IN ▲QUAMARINE The Beat Generation via photopin (license)

アメリカの文学界やカルチャーにおいて、今なお注目を集める「ビート・ジェネレーション (Beat Generation)」。主に1950年代のアメリカで活躍した彼らは、後のカウンターカルチャーやヒッピームーブメントに多大なる影響を与えました。

そもそも、ビート・ジェネレーションとは何か。活躍した人物や代表的な作品を含めて詳しく紹介します。

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ビート・ジェネレーションとは

ジャックケルアック

ビートジェネレーションの重鎮ジャック・ケルアック

1950〜1960年代にかけて活躍した文学的活動グループ「ビートジェネレーション(Beat Generation)」。

このBeatという言葉の意味は、「打ちひしがれた」、「倦怠」、「裸のまま」、「ジャズのビート」で生命がリズミカルに躍動する様、幸福に輝く(beatific)、至福(beatitude)の意味を総合したものです。別名、Beatnik (ビートニク)とも呼ばれています。

この言葉を最初に使ったのは、ビート作家のジャック・ケルアック。彼の作品『路上』で使用したのが始まりと云われています。

ビート・ジェネレーションは、人間性の回復を願って、虚偽と不安に満ちた唯物的アメリカ社会からの脱出を試みた若者達が中心となり活動。徐々にこの活動が広がり、世界中の若者の心を掴んでいくようになりました。

また、戦時中の作家グループであるロスト・ジェネレーション(スコット・フィッツジェラルド、アーネスト・ヘミングウェイなど)と比較されることがあるが、ビート・ジェネレーションは彼らと違い喪失感を持っていないのが大きな特徴です。

1950年代のアメリカ事情

1950年代のアメリカ事情

photo credit: Thomas Hawk McDonald’s Hamburgers via photopin (license)

戦勝国として表面的には比較的安定した時代を迎えた1950年代のアメリカ。

街には物資が溢れ、人々は大量消費時代を謳歌し始めていました。テレビの普及率が急速に上昇し、家電製品や大型車が一般の家庭のステータスとして定着。まさに、アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ。

しかし、アメリカ内部では深刻な問題を多く抱えていました。人種差別問題や、マッカーシズム、東西冷戦時代など、その後のアメリカという超大国を大きく揺るがす問題が、人々に恐怖と喪失感を与えた時代でもありました。

そのような時代に誕生したビート・ジェネレーションというグループ。

古いアメリカの価値観に疑問を抱き、個人を抑圧する国家や度重なる戦争。さらには、モノが豊かになることでの商業文明への不信感が募りました。そうした枠組みから離れて、自己の魂の追求を彼らは思想の核として、「真の自由」を見出しました。簡単に言うと、人間本来の姿への回帰です。自由と魂の追求は人間にとって自然なことで、そこには制約や束縛とは遠く離れたものであるはずです。ビート達の多くは真っ先に禅やチベット仏教といった東洋思想に目を向けて、自己と向き合うことを人々に唱えました。

ビートジェネレーションに影響を受けた有名人

スティーブジョブズ

photo credit: Photo Giddy Steve Jobs by Norman Seeff via photopin (license)

ビート・ジェネレーションと似た思想または、直接的に影響を受けた有名人は数多くいます。作家ではチャールズ・ブコウスキー、カート・ヴォネガット、トマス・ピンチョン。アーティストでは、アンディ・ウォーホル、ジャクソン・ポロック。ミュージシャンでは、モロニアス・モンク、ボブ・ディラン、カート・コバーン、ドアーズ、デイビット・ボウイ、パティ・スミス、ミック・ジャガー、ジミーペイジー、ボノ、ジョーストラマー、そしてザ・ビートルズ。さらには、アップル創業者スティーブ・ジョブズも東洋思想やカウンターカルチャーを経験し、現代のビートと言えるでしょう。

ビートジェネレーションを代表する人物と作品

ジャック・ケルアック (Jack Kerouac)

オンザロード

1922年、マサチューセッツ州生まれ。コロンビア大学時代に、他のビート作家と出会う。1957年に「路上(On the Road)」を出版。後に、ヒッピー達のバイブルとして注目を集める。代表作「路上」は、ケルアック自身が一枚のロールペーパーに段階や改行もなく三週間で書き上げたと云われています。20代に盟友であるニール・キャシディ(作中ではディーン・モリアーティ)と共にアメリカ放浪をした物語が元となっています。

ボブ・ディランやマイルス・デイビスを筆頭に、多くミュージシャンに影響を与えたビート・ジェネレーションの中心的人物。50年代のカウンターカルチャーは、ジェームス・ディーン、エルビス・プレスリー、そしてジャック・ケルアックによって浸透したと言われている時代の寵児。

>>オン・ザ・ロード

アレン・ギンズバーグ (Allen Ginsberg)

1926年、ニュージャージー州生まれ。コロンビア大学時代から多くの文学に触れる。1956年、サンフランシスコの名書店City Lights Books から「吠える(Howl)」を出版。アメリカの物質至上主義や虚偽を「ポエトリー(詩)」で表現する。朗読の名人としてポエトリー・リーディングを行い、アメリカやヨーロッパ各地を回って影響力を広める。ザ・ビートルズのメンバーやジョニー・デップなどとも交流を深め、アメリカンカルチャーにも大きく貢献する。近年では、作家の村上春樹氏がギンズバーグの詩の翻訳をしたことで話題となったアメリカを代表する詩人。

>>ギンズバーグ詩集

ウィリアム・S・バロウズ (William S Burroughs)

裸のランチ

1914年、ミズーリ州生まれ。名門ハーバード大学時代にはT・S・エリオットを研究。卒業後は、ヨーロッパを放浪し、ウィーン医学校に入学。その後、私立探偵や害虫駆除業者など、様々な職種を経験する。1959年、「裸のランチ (Naked lunch)」を出版。物語のあらすじというものは存在せず、文章をランダムに切り、新しいテキストを生み出す「カットアップ」という技法を取り入れる。ニルヴァーナのカート・コバーンやアンディ・ウィーホルに多大な影響を与える。誤って妻を射殺するなど、奇人エピソードが絶えない問題児であり秀才。

>>裸のランチ

ビートジェネレーションが伝えたい最も大切なこと

ビートジェネレーションの書籍

photo credit: /kallu beat book shop via photopin (license)

彼らビート・ジェネレーションは、共通の目標や指針を掲げたわけでもなく、共作で特別の雑誌を出版したわけでもありません。ましては、物事や世界を変えることもしていないのです。では、なぜ現在に至るまで彼らの作品や思想が今もなお生き続けているのか?

「ビート」が唯一残したもの…それは、「生き方」に他ならないのです。

とにかく、「自由」に生きること。彼らは、形式ばった文化や常識を嫌っていました。ビート作家のアレン・ギンズバーグは、「サンフランシスコの詩のルネサンス」とまでいわれ、ポエトリーリーディングでは韻を巧みに踏んで美しい文体を披露していました。彼らは自由に生きた。本当に自由に。。

60年代のヒッピーは「愛」と「平和」を唱い、激動と呼ばれた60年代に大きなムーブメントを起こしました。そのヒッピーカルチャーに多大なる影響を与えた50年代のビートは、純粋に生きること、社会に対して常にアウトローでいることの概念を創造した人たちです。

彼らは新時代の間口を大きく開かせ、そして今も脈々と受け継がれています。

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