日本を代表する世界的作家として活躍する「村上春樹 (Haruki Murakami)」。これまで文学史に残る素晴らしい作品を発表し、個人的にも新作発売日にはすぐ手にとるほど好きな作家です。
そんな私は、これまでの村上春樹作品の小説やエッセイなど全て読みました。
今回は、村上春樹の原作を元にしたおすすめの映画を6つ厳選して紹介します。
村上春樹作品の原作を描いた映画6選
1. ノルウェイの森 (2010年公開)
2010年公開の映画『ノルウェイの森』
映画タイトル | 公開年 | 監督 | 出演 |
ノルウェイの森 | 2010年 | トラン・アン・ユン | 松山ケンイチ、菊池凛子、水原希子 |
原作は1987年に出版して以来、現在までに大ベストセラーとなった村上春樹の長編小説。
映画化の許可が承諾されるまでに約4年の歳月を費やしたという、監督そして作家自身にとっても大変思い入れのある作品です。読んだor読んだことがない方も、誰もが知っている小説のタイトルであまりにも有名なノルウェイの森。
物語は主人公ワタナベの学生時代の話で、舞台設定は1960年代後半〜1970年代初頭の大学での学生運動が盛んな時期を描写しています。カラフルな色彩というよりも、どことなく映像に靄がかかっているような淡い雰囲気に引き込まれます。綺麗な恋愛映画ではなく、切なくて哀しい物語。でも、どこまでも美しいストーリー展開。
映像もさることながら、ザ・ビートルズの「ノルウェイの森」や作中で流れる音楽が映画の世界観にぴったりマッチしています。小説の内容を忘れてしまった方は、まずは映画を観てから、そのあとに小説を読み返すのも良いかと思います。
2. バーニング 劇場版 (2018年公開)
2018年公開の映画『バーニング 劇場版』
映画タイトル | 公開年 | 監督 | 出演 |
バーニング 劇場版 | 2018年 | イ・チャンドン | ユ・アイン、スティーヴン・ユァン、チョン・ジョンソ |
原作は村上春樹が1983年に発表した短編小説「納屋を焼く」を映画化した作品。小説の舞台は日本ですが、映画では韓国で撮影されています。また、原作との内容も大きく変更されています。
出演しているジョンス、ヘミ、ベンの三角関係からなる設定でストーリーが進行し、衝撃的な結末を迎えます。物語を通じて韓国社会の格差を浮き彫りにした描写は見逃せません。この作品は、カンヌ国際映画祭コンペティション部門にエントリーされ、海外ではたくさんの賞を受賞しています。ストーリーは原作とは違いますが、作品自体は個人的にすごく好きです。作品の雰囲気と韓国の街並みがすごく合っていて素敵です。批評家の方からも高い評価を得ている作品となります。
ベン役には、アメリカのテレビドラマ「ウォーキングデット」のスティーヴン・ユァンが出演。
3. ハナレイ・ベイ (2018年公開)
2018年公開の映画『ハナレイ・ベイ』
映画タイトル | 公開年 | 監督 | 出演 |
ハナレイ・ベイ | 2018年 | 松永大司 | 吉田羊、村上虹郎、佐野玲於 |
原作は2005年に村上春樹が出版した短編小説集「東京奇譚集」に収録されている1篇。物語の舞台は原作と同様にハワイで撮影を行っています。
ハワイでのサーフィン中に亡くなった息子に思いを馳せる母親の物語。物語の舞台がハワイということで常夏の楽園らしい青い海と白い砂浜がまた美しく描写されて、景色を見ているだけでも癒されます。
ストーリーは、母親と亡き息子との関係性をリアルに描写。母親からしたら息子は大切な存在だからこそ生じてしまう心の摩擦を映画から感じ取れます。原作との内容はほぼほぼ同じ。
村上作品のテーマでもある人間の内側を上手く映像化した作品に仕上がっています。
4. トニー滝谷 (2005年公開)
2005年公開の映画『トニー滝谷』
映画タイトル | 公開年 | 監督 | 出演 |
トニー滝谷 | 2005年 | 市川準 | イッセー尾形、宮沢りえ |
出演はイッセー尾形、宮沢りえ。原作は1996年に出版の短編小説集「レキシントンの幽霊」に収録。音楽は坂本龍一が担当。
イラストレーターとして活動しているトニー滝谷が、妻の死をきっかけに孤独を感じながら生きてゆく人間ドラマを描いています。
それにしても、この映画のタイトル名が強烈な印象があります。トニー滝谷って誰?って感じです。
この作品は海外での評価が高く、ロカルノ国際映画祭にて審査員特別賞、国際批評家連盟賞、ヤング審査委員賞を受賞。
ちなみに本作に出演している宮沢りえは長編小説「海辺のカフカ」舞台版にも出演しています。
5. 神の子どもたちはみな踊る (2010年公開)
2010年公開の映画『神の子どもたちはみな踊る』
映画タイトル | 公開年 | 監督 | 出演 |
神の子どもたちはみな踊る | 2010年 | ロバート・ログヴァル | ジェイソン・リュウ、ソニア・キンスキー、ジョアン・チェン、ツィ・マー |
監督はロバート・ログヴァル。原作は2000年に村上春樹が発表した短編小説です。アメリカ合衆国ロサンゼルスにて撮影が行われました。
この物語は地震がひとつのキーワードとなっています。村上春樹はこの小説で阪神・淡路大震災に影響を受けて作品にも大きく反映。物語は原作通りに話が進んでいきますが、村上作品の舞台がアメリカ・ロサンゼルスとなると少し違和感を感じてしまいます。一度小説とは切り離して映画を観てみるのも良いのかも知れません。
6. ドライブ・マイ・カー (2021年公開)
2021年公開の映画『ドライブ・マイ・カー』
映画タイトル | 公開年 | 監督 | 出演 |
ドライブ・マイ・カー | 2021年 | 濱口竜介 | 西島秀俊、三浦透子、岡田将生、霧島れいか |
主演は西島秀俊。短編小説集「女のいない男たち」に収録されている1篇。
原作の舞台は主に東京だが、多岐の理由により物語の中盤は広島で撮影を行っています。
妻の死をきっかけに生きる気力を失いつつある主人公が、ある女性との出会いで物語が進行します。物語の中心となる『車』がポイントで、美しい映像が目を惹きます。
原作とは設定が異なることが多くあり、他の物語との描写と重ねている部分を取り入れていますが、違和感なく素晴らしい作品です。
カンヌ国際映画祭脚本賞、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞を受賞など注目を集めました。