ファッションや写真を深く掘り下げれば、必ずと言っていいほど彼の名前が引っかかる。1980-90年代のファッション雑誌を読み漁れば、彼が撮った写真が表紙を飾り、広告としてタイアップされている。そこには、彫刻のような肉体をし、凛とした表情を見せる男性モデル達。見るモノに強烈なインパクトを与える写真が並ぶ。そう、彼の名は「ブルース・ウェーバー(Bruce Weber)」。1980年代からアメリカを中心に活動の幅を広げ、広告写真として名だたるブランド広告の顔を撮り続けた。また、抜きん出た先見性で、デビューして間もない俳優やモデルを一躍トップスターへ。ブルース・ウェーバーとは一体何者なのか。
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ブルース・ウェーバーとは
ブルース・ウェーバー(Bruce Weber, 1946-)
アメリカ合衆国ペンシルベニア州グリーンバーグ生まれの写真家、映画監督。オハイオ州グランビルのデニソン大学で芸術を専攻した後、ニューヨーク大学で映画を学ぶ。卒業後、伝説のフォトグラファーであるダイアン・アーバスと知り合い、写真の世界へ。1980年代にカルバン・クラインの広告キャンペーンで、男性モデルのヌード写真を起用して一躍脚光を浴びる。他にもディオール・オム、ヴェルサーチ、ヘルムート・ラング、コム・デ・ギャルソンなどビックメゾンで広告写真を担当する。ファンの間では、ブルース・ウェーバーが手掛けた写真集やファッションアイテムが高額で取引されていて、ファッション業界で今なお注目を集めている存在。トレード・マークはバンダナとスリッポン。
男性ヌードを広告に起用
ブルース・ウェーバーの広告写真は一目見ればわかる。カルバン・クラインをはじめ、ヴェルサーチ、ラルフ・ローレン、アバクロビー&フィッチなど彼の写真には鍛え抜かれた男性像がよく写し出されている。そこには、ありがちなカメラに向けてのポージングや作られた笑顔は一切存在しない。ブルースの写真はどこまでも自然体の表情が広告として起用されている。彼はファッション業界の流れを変え、同時に広告のあり方さえも変えてしまった。代表的な広告はやはり、カルバン・クラインの下着が最も印象的である。
>>カルバン・クライン(Calvin Klein) ボクサーパンツ
業界にもファンが多い
国内外問わず、ブルース・ウェーバーの熱心なファンは多い。特にファッション業界では、裏原ブランドのパイオニア的存在である藤原ヒロシ氏、スタイリストの野口強氏、また自身も交流があるエディターの野村訓市氏が ブルースの写真集や作品を高く評価している。
ブルース・ウェーバーが撮った有名人たち
ブルース・ウェーバーは、1980年代から現在に至るまでたくさんの有名人を撮りつづけてきた。当時まだ無名な人物を、その後のブレイクにつなげて大きくメディアに登場させたのも、彼(ブルース・ウェーバー)なくしては語れない。そんなブルース・ウェーバーを知るうえで今まで撮ってきた有名セレブ達を紹介しよう。
レオナルド・ディカプリオ
まだ初々しさげが残る10代のレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprion)。彼はその後、ジョニー・デップと共演した「ギルバート・グレイプ」で高い演技力を評価されてアカデミー賞にノミネート。トップスターの仲間入りを果たす。写真はアメリカの雑誌「Interview」の表紙に使われた有名な一枚。
マドンナ
「ポップスの女王」として不動の地位を築くマドンナ(Madonna)。1984年に発売された「ライク・ア・ヴァージン(Like A Virgin)」がヒットし、その名を全世界に広めた。
リヴァー・フェニックス
ブルース・ウェーバーの作品の中でも、リヴァー・フェニックス(River Phoenix )の写真はたいへん貴重である。代表作「マイ・プライベート・アイダホ」で各国の賞を総なめにしたリヴァーだが、23才という若さでこの世を去った。
ケイト・モス
ファッションモデルのケイト・モス(Kate Moss)。「永遠のミューズ」としてファッション業界に君臨し続ける彼女のデビューは10代。その頃からブルース・ウェーバーは彼女に注目し、カメラを向けていた。
犬好きなブルースは映画も撮る
大の犬好きとして知られるブルース・ウェーバーは、自らの愛犬たちを撮って映画にもなっている。その名は「トゥルーへの手紙(Letter To True)」。「トゥルー」とは、ブルースがこよなく愛する愛犬の名前で、この愛犬にブルース自身が宛てた手紙を綴るストーリー展開になっている。この映画、とにかく映像が美しくて、まるでブルースの写真を切り取って繋ぎ合せたようなリアルな映像がそこにはある。また、メッセージも印象的で、ブルースの感性が伝わる素晴らしい作品に仕上がっている。
古き良きアメリカが漂う
彼の写真集を手に取れば、さまざまな見方や感じ方がある。そこには一貫してブルース・ウェーバーが大切にしていることが、たった一枚の写真に凝縮されていることが分かる。ブルースが人物を撮れば、自然体の表情やしぐさが存在する。風景を撮れば、どこか懐かしさを感じる。彼がアメリカにレンズ向ければ、「古き良きアメリカ」が広がっている。彼の世界観に触れて、新しい目で世界を見渡してみると、思いがけない発見をするかもしれない。
>>(左)Bruce Weber Filmography
>>(中央)Born Ready (All-American)
>>(右)Branded Youth and Other Stories
ブルース・ウェーバー(Bruce Weber, 1946年3月29日 – )はアメリカ合衆国ペンシルベニア州グリーンバーグ生まれの写真家、映画監督。オハイオ州グランビルのデニソン大学で演劇と芸術を専攻していたが、ニューヨーク大学に移り映画制作を学ぶ。1973年、業界誌 『Men’s Wear』 で写真家としてデビュー。1982年カルバン・クラインの下着ラインの広告写真に、当時はまだは一般的ではなかった男性のヌードを使用。この成功によりウェーバーは一躍‘80年代を代表する商業写真家となる。カルバン・クラインの他にはラルフ・ローレン、アバクロンビー&フィッチの広告写真などが有名。—Wikipedia抜粋—