カリフォルニアが生んだ4人組のモンスターバンド=レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(通称:レッチリ)。独自のミクスチャーロックで30年以上のキャリアを現在までに積み重ねてきた。そんな彼らは、ここまでの音楽的形成は幾度かの紆余曲折を経て今の地位を確立した。1990年代から現在までのレッチリの足跡を振り返ってみる。
レッチリとは
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)とは、アメリカ・カリフォルニア州出身の4人組ロックバンド。通称「レッチリ」。
彼らのベースであるアメリカ西海岸のカリフォルニアで1983年にバンドを結成。翌年1984年にデビューアルバム「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」をリリース。1999年に「カリフォルニケイション」をリリースし、爆発的なセールスを記録する。
以後、数々の名盤をリリース。人気を不動のものにする。現在までにオリジナルアルバム10枚、ベストアルバム1枚をリリース。2012年にはロックの殿堂入りを果たす。
レッチリメンバー紹介
現在のメンバー
ボーカル:アンソニー・キーディス(Anthony Kiedis)
ミシガン州出身。メインボーカルとしてバンド結成時からレッチリを引っ張ってきた中心的存在。鍛え抜かれた肉体、歌唱力、ライヴでのダンスパフォーマンスは圧巻。幾度のバンド危機をアンソニーがいたからこそ乗り越えてきたリーダー。趣味はサーフィン。
ベース:フリー(Flea)
メルボルン出身。アンソニーと同じくレッチリ結成時からのメンバー。ベースの技術はずば抜けていて、自ら講師として生徒にベースの技術を教えるほど優れている。また交流関係も広く、カート・コバーン、リバー・フェニックスなどと親交があった。趣味はサーフィン。アンソニーとよくカリフォルニアのビーチで波乗りしている。
ドラム:チャド・スミス(Chad Smith)
ミネソタ州出身。1989年、5代目のドラマーとして加入。ミクスチャーなレッチリサウンドに適度なバランスを保っているのがチャドのドラミング。趣味はバイクで、ハーレー好きとして知られている。
ギター:ジョン・フルシアンテ(John Frusciante)
ニューヨーク州出身。18才という若さでレッチリのギタリストとして加入。以後レッチリ不動の地位を築いた1990-2000年代において欠かせない存在。「現代の三大ギタリスト」の一人としてその腕前は超一級。2009年、更なる音楽の追求を求めて脱退。その後、二度目の復帰を果たす。(2019年)
過去のメンバー
ジョシュ・クリングホッファー(Josh Klinghoffer)
カリフォルニア州出身。2007年からレッチリのサポートメンバーとし、2010年にジョン脱退に代わって正式にレッチリのギタリストとなる。若くから才能を開花していて、レッチリ加入以前から数多くのミュージシャンとセッションを経験している。2019年、脱退。
デイヴ・ナヴァロ(Dave Navarro)
カリフォルニア州出身。1994年ジョンが一時脱退した後、レッチリのギタリストとして加入。翌年、6枚目のアルバム「ワン・ホット・ミニット」のリリースに参加するが、音楽性の違いから脱退。
1990年代以降のレッチリアルバム
Blood Sugar Sex Magik(ブラッド・シュガー・セックス・マジック) 1991年
レッチリを代表する名盤「Blood Sugar Sex Magik (ブラッド・シュガー・セックス・マジック)」は、世界レベルでレッチリの名前を広めた究極の一枚。名曲「Under The Bridge」や「Give it away」をはじめ、現在のレッチリの「核」と言える部分が凝縮されたアルバム。
プロデューサーにリック・ルービン、「Under The Bridge」のビデオには映画監督のガス・ヴァン・サントが手がけている。いま振り返ると、ビックな面々がこのアルバムに関わっている。間違いなく押さえておきたい名盤。
One Hot Minute(ワン・ホット・ミニット) 1995年
ジョン・フルシアンテ脱退後、ギターにデイヴ・ナヴァロを迎えての本作。ファンキーというよりも、ハードロック指向が強く、正直好みが分かれるところ。ジョンがいなくなって、ここまで変わるのか?と思えるほど、いまいちレッチリらしさに欠ける一枚。
このアルバムを最後にあっさりと新加入のデイヴは脱退する。ハードな曲が続く本作だが、「My friends」と「Tearjerker」はメローな曲でおすすめのナンバー。
Californication(カリフォルニケイション) 1999年
前作から4年経った1999年。ジョン・フルシアンテが戻ってきて、レッチリを代表するアルバムがこの「Californication (カリフォルニケイション)」。レッチリ史上最大のセールスを記録して、各賞を総なめにした本作。20世紀のロック史の名盤。
このアルバムの魅力は、クセがなく、尖っていた部分を少し滑らかにしたような、ハードでいてソフトな曲が続く。「Around the World」「Scar Tissue」「Californication」はレッチリの代表曲なので絶対に押さえておきたい曲。ライブでは本作からの楽曲を演奏する機会が多いので、メンバー自身も強い思い入れがあると感じます。
個人的に「Road Trippin’ 」は隠れた名曲。このアルバムは、1曲目から最後まで通して聴くことをおすすめします。
2000年代以降のレッチリアルバム
By The Way(バイ・ザ・ウェイ) 2002年
21世紀レッチリ最初のアルバムが2002年に発売された「By The Way (バイ・ザ・ウェイ)」。新たな試みとしてコーラスを多用した本作は、ギタリストのジョン・フルシアンテによるアルバムといっても良いジョン色満載の一枚。
コーラス、生きたギターサウンドが全面に押し出されたジョンによる素晴らしいレッチリサウンドが広がっている。
定番の「By the Way」「Can’t Stop」はライブで必ず歌う代表曲。さらに、「Dosed」「Midnight」は切ないメロディーで、歌詞がすごく良い。なかなかお披露目することが少なく、この2曲は本作でしか聴くことができない。
Stadium Arcadium(ステイディアム・アーケイディアム) 2006年
レッチリ通算9枚目の2枚組で発売された本作「Stadium Arcadium (ステイディアム・アーケイディアム)」。
2006年に発売されたこのアルバムでは、今までの集大成ともいえる作品になっている。1999年に発売された「カリフォルニケイション」からバンドとしてひとつの方向性を見出した彼らは、そこからレッチリらしさを取り戻し、このアルバムはいわば今までの良い部分を引き出し、さらに音楽的クオリティを引き上げた一枚。
レッチリはこのアルバムでひとつの大きな区切りを迎える。
本作を最後に、ギタリストのジョン・フルシアンテが脱退。PVが話題で映画「デス・ノート」の主題歌「Dani California」、他には「Snow(Hey Oh)」「Desecration Smile」「Tell Me Baby」は今後のベスト盤に入るであろう代表曲。さらに、ジョンのギターソロがすごい「Wet Sand」は言葉が出ないくらい素晴らしい隠れた名曲。本作2枚組なので、レッチリワールドを存分に楽しめる名盤。
I’m With You (アイム・ウィズ・ユー) 2011年
前作を最後にギタリストのジョンが脱退し、新たにジョシュ・クリングホッファーが加入しての本作「I’m With You (アイム・ウィズ・ユー)」を2011年にリリースしたレッチリ。
この年、日本に来日した彼らは「SUMMER SONIC2011」のヘッドライナーとして出演。新生「レッチリ」として独特の音楽サウンドと新たなクリエイションを追求している姿勢が、このアルバムからひしひしと感じられる。レッチリの拠点Californiaの空気や風景が伝わるような、肩の力を抜いてリラックスしながら聴ける楽曲が並ぶ。
「Monarchy of Roses」「Look Around」「The Adventures of Rain Dance Maggie」はポップなサウンドと、新加入のジョシュがフレッシュな空気をレッチリに吹き込んでくれていておすすめの曲。
プロデューサーはお馴染みのリック・ルービン。このシンプルなアルバムのアートワークは、ドクロの作品で有名な世界的デザイナーのダミアン・ハースト。
The Getaway (ザ・ゲッタウェイ) 2016年
2016年に発売した通算11枚目のスタジオアルバル「The Getaway (ザ・ゲッタウェイ)」。
プロデューサーは新たにデンジャー・マウスを迎えてリリースした本作。ミックスはナイジェル・ゴッドリッチ (Radiohead, Beck, R.E.M.などを手がける)が担当。ギタリストのジョシュは加入後2作目となり、レッチリのメンバーとして馴染んできた感があります。それもそのはず、本作はジョシュのギターサウンドが印象的で特に「The Longest Wave」「 Sick Love」を筆頭にバラード曲に存在感を発揮。
曲に込められた想いが伝わり、落ち着きのある大人なロックを随所に感じさせる。それでもレッチリサウンドは健在。
同年、「FUJI ROCK FESTIVAL ’16」のヘッドライナーとして出演。
レッチリのベストアルバム
Greatest Hits(グレイテスト・ヒッツ) 2003年
「ブラッド・シュガー・セックス・マジック」から「バイ・ザ・ウェイ」までの選りすぐりの名曲を集めたベストアルバム「Greatest Hits (グレイテスト・ヒッツ)」。捨てる曲がない代表曲ばかりなので、いち早くレッチリを知るにはふさわしい一枚。
ライブでもこのアルバムからの収録曲を中心に演奏するので、レッチリの基本であるとも言えるベストアルバムに仕上がっている。「Fortune Faded」「Save the Population」の2曲はアルバム初収録曲。あまりにも豪華すぎる曲順が並ぶ。
レッチリをはじめて聴く人は、これをおすすめします。
レッチリライブアルバム・DVD
Live in Hyde Park(ライヴ・イン・ハイド・パーク) 2004年
2004年に「Roll On The Red Tour 」と題してツアーを行い、本作は同年6月20日,21日,25日にイギリスのハイド・パークで行われたライブを収録した2枚組のライヴアルバム。
「Can’t Stop」からはじまり、「By the Way」「Californication」「Parallel Universe」などの名曲が並ぶ。30年以上あるキャリアの中で、意外にもレッチリがはじめてリリースしたライブアルバムが本作。
ライブならではのアドリブや即興演奏を随所に見せてくれているので、レッチリをはじめて聴く方でも楽しみながら聴けるアルバム。たっぷり2枚組2時間以上の計26曲を収録。もちろんファンにはマストな一枚。
Live at Slane Castle(ライヴ・アット・スレイン・キャッスル) 2003年
アルバム「バイ・ザ・ウェイ」をリリースした翌年の2003年、アイルランドで行われたスレイン・キャッスルでのライブを収録。会場の雰囲気や曲順、どれをとってもレッチリ色満載のライブ。最初は軽く観るつもりが、思わず見入ってしまうほど圧巻のパフォーマンスが満載。
ライブというより、ひとつのショー。とくにジョン・フルシアンテのギター演奏には、ため息が出るほど素晴らしい。最低でも、アルバム「バイ・ザ・ウェイ」と「グレイテスト・ヒッツ」を聴いてから本作を観るのが理想的。
レッチリおすすめ代表曲10選
- Under the Bridge 「Blood Sugar Sex Magik」
- Give It Away 「Blood Sugar Sex Magik」
- Scar Tissue 「Californication」
- Californication「Californication」
- By the Way「By the Way」
- Can’t Stop「By the Way」
- Dani California「Stadium Arcadium」
- Tell My Baby「Stadium Arcadium」
- Monarchy of Roses「I’m With You」
- The Adventures of Rain Dance Maggie「I’m With You」