ニルヴァーナのカート・コバーン(Kurt Cobain)公式ドキュメンタリー映画「COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック」が2015年6月27日から1週間の期間限定上映を行いました。
本国アメリカで大反響を呼び、カート・コバーンの未公開プライベート映像が話題になった本作。今回は、鑑賞直後の率直な感想や見どころをまとめてみました。
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あらすじ
1990年代初頭にグランジ旋風を巻き起こし、27才という若さでこの世を去ったロック界のカリスマ的存在であるカートコバーン。
リアルなドキュメンタリーの内容になっている本作は、カートの妻であるコートニー・ラブや家族の証言を加えた新たな切り口で、カートの知られざる生涯を描いた。
監督・脚本はブレッド・モーゲン。製作総指揮を担当したのは、カート・コバーンの娘フランシス・ビーン・コバーン。
COBAIN モンタージュ・オブ・ヘックの見どころ
本作は、カート・コバーンに最も近かった存在である家族、妻コートニー・ラブ、ニルヴァーナのメンバー、元恋人、カートの妹、義理の母親など生前カートと密に親交があった人物がカートについて証言しています。
カートが誕生した当時のエピソードから青春時代、両親の離婚、いじめ、ニルヴァーナ(Nirvana)結成、ドラッグ、社会的成功、コートニーとの出会い、そして自ら選んだ死。本作を監督したブレッド・モーゲンは「ジェットコースターに乗っているような作品」と語っているように、カートの未公開映像と手書きのイラスト、アニメーションを交えながらアップダウンに物語が進んでゆきます。
元々、カートは内気で繊細な性格で知られていて、誤解されることが多い存在でもあります。そんな彼のプライベートな部分をさらけ出している映像を見ているだけで、時代を動かしたロックスターというより、一人の純粋な音楽が好きな青年として映し出されいます。
新たなカート・コバーンの発見
カート・コバーンの存在を知れば知るほど、その実像は今まで謎のベールに包まれていました。世に溢れているカートにまつわる関連本や、真偽が定かではないエピソードまで。。。真相はカート本人以外誰もわかりません。
本作は、カートコバーンの生涯をリアルに描いています。今まで想像していたカートに対するイメージを、良くも悪くも裏切るかもしれません。ただ確信できることは、この映画で新たなカート・コバーンを発見できます。ビートルズの曲を歌い、娘フランシスをあやし、お茶目な表情を見せるカートがそこにはあります。カートには陰鬱なイメージがつきものですが、妻コートニーが撮影した8mmビデオの映像には、そんな素顔のカートが垣間見れます。
この映画を観終わった後、カートに対する謎がずいぶん解けて、クリアになるのではないでしょうか。
最後に個人的な感想をまとめます。
この映画は、悲しく儚い物語であると同時に、誰にでも存在するであろう心の中にある葛藤を描いています。一人の人生を描いたドキュメンタリーですから、人生がそうであるように、キレイな映像ばかりではありません。
そもそもカートのファンは、キレイな映像なんて求めていません。カートの生き方やスタイルが魅力ですから、むしろ人間味あるドロドロした部分を求めるのは共通しているのではないでしょうか。
迷い、苦しみ、怒り、苦痛、またに微笑み。。一夜にして世界のスターになり、時代の寵児になってしまったら、誰もが混乱するでしょう。まさにカート・コバーンがその一人でした。
この映画は、そんなカート・コバーンにどっぷり染まれる作品になっています。エンドロールが流れるころには、ニルヴァーナの曲を聴き返したくてうずうずします。そんなカート・コバーンの濃密な144分を時とご覧あれ。
追記:本作「COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック」の終盤にこのような場面があります。
1993年、ニルヴァーナがニューヨークで行われたMTVアンプラグドのリハーサル中に、カートが観客の配置を決めるシーンでこのように発しています。
”演奏している時は、見慣れた人しか視界に入れたくない”
これが彼にとって、最後のステージになってしまいました。どこまでも繊細でピュアなロックスターのカート。その彫刻のような顔立ちに、ボロボロの服を着て、ギターを演奏する姿。時に激しく、時に静かに。
本作で登場するニルヴァーナのライブ映像。なかでも、1992年に行われたレディング・フェスティバルが印象的でした。最終日の大トリを飾ったこの伝説のライブは、当時の若者を熱狂させ、世界を変えたバンドとして納得のパフォーマンス。グランジファッションのパイオニア的存在であるカート・コバーン。奇抜なファッションも注目です。