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アメリカで最も有名な作家スコット・フィッツジェラルドを知り尽くす

フィッツジェラルドメイン画面
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20世紀最高の文学にして、アメリカ人なら誰もが一度は読んだことがある小説「グレート・ギャツビー」を生み出したロストジェネレーション作家のひとり、スコット・フィッツジェラルド。

1920年代のアメリカを代表する「時代の寵児」であった天才作家が、どのような時代で、どう人生を歩んでいったのか、彼の作品とともに振り返っていきます。

F・スコット・フィッツジェラルドとは

フィッツジェラルド

F・スコット・フィッツジェラルド(Francis Scott Key Fitzgerald)は、アメリカ出身の小説家・脚本家。

1896年アメリカ北西部ミネソタ州セントポールに生まれ、父エドワードの仕事の関係で幼少時をニューヨークで過ごす。1913年プリンストン大学に入学するが、第一次世界大戦が起こると大学を中退し、陸軍への入隊を自ら志願。除隊後、1920年に発表した「楽園のこちら側」で作家デビューを果たすと、瞬く間に脚光を浴びる。

1922年に長編2作目となる「美しく呪われし者」、1925年には後の代表作となる「グレート・ギャツビー」を出版し、アメリカ文学を代表する作家の一人となる。1920年代アメリカのジャズエイジの象徴的人物として、妻ゼルダ・セルヤーと共に毎晩パーティーに繰り出し、派手な遊びに明け暮れる。

しかしその後、ゼルダの発病や自身のアルコール中毒に悩まされ、さらには1929年の世界恐慌で生活が一変し、時代とともに作品は過去のものへとなってゆく。

享楽的な生活で膨れ上がった借金と娘スコティーの学費を稼ぐためにハリウッドでシナリオライターとして働くが、アルコールが手放せず、健康状態が悪化。執筆中であった長編「ラスト・タイクーン」を未完のまま、1940年12月21日グラハムのアパートで心臓麻痺を起こし死亡。享年44才。

ジャズ・エイジとゼルダの存在

1920年代のアメリカphoto credit: image49116 via photopin (license)

フィッツジェラルドが小説家としてデビューした1920年代のアメリカは、「ジャズエイジ(Jazz Age)」と呼ばれています。当時のアメリカは第一次世界大戦が終わり、戦勝国として好景気に沸いていて、アメリカが世界に向けて自国のさまざまな文化を発信し始める時代です。ラジオや映画が普及し始めたのもちょうどこの頃で、若者はジャズを聴きながら踊り騒ぎ、国全体が開放的ムード。

ゼルダphoto credit: Jean Ackerman via photopin (license)

そんな中、フィッツジェラルドは小説家として早々に成功を収めます。彼が成功して、最も叶えたかったこと。それは「ゼルダ・セイヤー」を射止めることでした。フィッツジェラルドにとってゼルダは雲の上の存在。やがて、「絶世の美女」と呼ばれたゼルダを見事に振り向かせたフィッツジェラルドは、1920年にゼルダと結婚します。

しかし、ゼルダが良くも悪くもフィッツジェラルドの人生を大きく左右します。「フラッパー」として知られるゼルダは、派手なパーティーが大好きで、フィッツジェラルドと一緒に夜な夜なパーティー三昧。原稿料は全て使い果たし、出版社から前借りするほど。パリへ渡ってからも、フィッツジェラルドの執筆中に別の男性と関係を持ち、家庭は崩壊寸前。

それでもフィッツジェラルドがゼルダを必要としたのは、自分とは対照的な部分があり、それが彼の書く小説にも影響を及ぼしていることは、作品を読めばすぐに納得できます。

そのようにフィッツジェラルドの名作の裏には、「ジャズエイジ」という時代的背景、また最も近い存在であった妻「ゼルダ」が居たからこそ出来上がった作品といえるでしょう。

F・スコット・フィッツジェラルドの作品

グレート・ギャツビー(The Great Gatsby)

グレートギャツビー

スコット・フィッツジェラルドの代表作にして、20世紀最高の文学と呼ばれている「グレート・ギャツビー」。

謎の大富豪ジェイ・ギャツビーの光と影、栄光と悲劇、また時代の繁栄と空虚感を描く物語。主人公ギャツビーとフィツジェラルドの生き方が重なる部分が多く、人生はお金では買えないもの、愛とは如何なるものなのかを、この作品を通じて知ることになります。

アメリカを離れ、ゼルダと共にフランス・パリへ渡ったフィッツジェラルが、若干28才で書き上げた名作「グレート・ギャツビー」。「天才」とはこういう人のことを指すと、我ながら思います。

これを読まずしてフィッツジェラルドを語れない一冊です。

>>グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

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夜はやさし(Tender Is The Night)

夜はやさし

フィッツジェラルが最後に書き上げた長編小説「夜はやさし」。

自伝的小説と評されるこの小説は、静かに刻々と物語が流れてゆきます。物語=時間の経過とともに、人生の崩壊を描いていて、主人公ディックがアルコールに溺れていき、妻のニコルは精神を病んでゆく。まさに、フィッツジェラルド夫妻そのものです。ただ、こんなに美しい文章が書ける作家は、他にはいないです。「グレート・ギャツビー」と比較できるくらい名作の「夜はやさし」は最上級の物語を与えてくれます。

>>夜はやさし

マイ・ロスト・シティー(My Lost City)

マイロストシティー

こちら「マイ・ロスト・シティー」は、フィッツジェラルドの短編集。

長編小説だけではなく、スコット・フィッツジェラルドは短編小説でも優れた作品を残しています。当時、「時代の寵児」ともてはやされたフィッツジェラルドは、短編小説でその多くの能力を発揮します。鋭い洞察力、比喩表現、情景描写、どれをとってもフィッツジェラルドしか書けない物語がそこにはあります。村上春樹氏による翻訳もフィッツジェラルドの文章を上手く引き出しています。

>>マイ・ロスト・シティー (村上春樹翻訳ライブラリー)

ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック(The Scoot Fitzgerald Book)

フィッツジェラルドブック

小説家・村上春樹氏の手によって、スコット・フィッツジェラルドの人生や時代背景を詳しく解説しているのが「ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック」。

村上春樹氏自らがフィッツジェラルドの生まれ故郷であるセントポールからロックヴィルを巡り、フィッツジェラルドの足跡を辿ります。他にも2つの短編小説が収録。フィッツジェラルドをさらに知るには、非常に読み応えのある作品になっています。

>>ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック (村上春樹翻訳ライブラリー)

F・スコット・フィッツジェラルド原作の映画

華麗なるギャツビー(The Great Gatsby)

華麗なるギャツビー

「グレート・ギャツビー」を原作に、レオナルド・ディカプリオが主演を務めて話題になった2013年公開の映画「華麗なるギャツビー」。

舞台となった1920年代を忠実に再現し、フィッツジェラルドの代表作を見事に映画化しました。華やかに盛り上がるギャツビー邸でのパーティー風景や、細かな人物描写、鮮やかな映像美は素晴らしいものがあります。

音楽にはJay-z(ジェイ・ジー)が担当。衣装はBrooks Brothers(ブルックス・ブラザーズ)、ジュエリーはTiffany&Co(ティファニー)を身に付け、ファッションの方も見逃せません。

>>華麗なるギャツビー [DVD]

ベンジャミン・バトン 数奇な人生(Benjamin Button)

ベンジャミンバトン

フィッツジェラルドの短編小説をもとに、2008年に公開された映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」。

80才の老人が赤ちゃんとして生まれ、年を重ねるごとに若返ってゆくヒューマン・ストーリー。主人公ベンジャミンが成長し、やがてデイジーという女性と恋に落ち、全てがうまくいくはずだったが。。この物語は、あまりに切なく、人生を考えさせられる非常に完成度の高い作品になっています。フィッツジェラルドの作品は、心に響く言葉が物語にたくさん含まれていて、ベンジャミンバトンもその一つです。

主演はブラッド・ピット、監督にデヴィッド・フィンチャー。この作品は同年アカデミー賞を受賞しています。

>>ベンジャミン・バトン 数奇な人生 [DVD]