PR

村上春樹の「旅・エッセイ本」おすすめ10冊を選んでみました

村上春樹の旅エッセイ
記事内に商品プロモーションを含む場合があります
村上春樹の旅エッセイ

日本のみならず世界中にたくさんの読者がいる小説家の村上春樹。

長編小説ばかりが注目されていますが、村上春樹は作家デビューを果たしてからこれまで旅にまつわる旅行記やエッセイ本を多数出版しています。今回はその中から、厳選した10冊を紹介します。

なお、前半は旅行記。後半はエッセイ本に分かれています。
[adsense]

1. 遠い太鼓

遠い太鼓

>>遠い太鼓 (講談社文庫)

村上春樹が約3年間に及んでイタリア、ギリシャを中心にヨーロッパを旅しながら綴った旅行記。様々なヨーロッパの文化に触れながら創作活動を続けます。同時に、旅とは何か。なぜ、人は旅に出るのかという問いに、村上春樹が実際に旅をしながら想いを語ります。まだまだ携帯電話が普及していない時代に、小説家として日本を離れ、ヨーロッパを移動しながら仕事をする姿勢は読んでいて勇気をもらいます。人生とはいつでも挑戦し、たくさんの経験を積みながら成長していくことの大切さをこの本から感じ取ることができます。

長いヨーロッパ滞在の間に、『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』という2つの長編小説を仕上げ、村上春樹はさらに作家してのキャリアを積み重ねてゆきます。

2. 雨天炎天

雨天炎天

>>雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行 (新潮文庫)

ギリシャ ・トルコを巡って旅の記録を残した『雨天炎天』。エーゲ海を眺めながらゆったりした旅を想像する人がいるかもしれませんが、村上春樹が訪れたところはそういった場所ではありません。ギリシャでは、女性は入国できない女人禁制をとっているアトス山を訪れます。またトルコでは、クルド人の武装勢力の拠点であるディヤルバクルまで巡るかなり危険な旅の様子を収めている本書。

正直ここまで危険な旅をしなくても良いのではないかと思えるくらいタフな旅ですが、それだけ読み応えのある内容になっています。

3. やがて哀しき外国語

やがて哀しき外国語

>>やがて哀しき外国語 (講談社文庫)

アメリカ・プリンストン大学の客員研究員として約2年間滞在したときのできごとを綴っています。当時のアメリカは、湾岸戦争の真っ只中。そんな中、日本人(外国人)としてアメリカに滞在して感じたことを良い部分も悪い部分も含めてあるがままに語る。アメリカに興味がある人はもちろんですが、これから異国の地で生活してみたいと考えている人にとっては、この本を読んで得るものが多いのではないかと思います。

村上春樹はこの約2年間のアメリカ滞在の間、『国境の南・太陽の西』『ねじまき鳥クロニクル』という2つの長編小説を書き上げています。

4. うずまき猫のみつけかた

うずまき猫のみつけかた

>>村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた (新潮文庫)

アメリカ・ケンブリッジに住んでいた頃の滞在記。ボストンマラソンに向けての準備からスタートし、その後テキサス州に渡り、ジャマイカ、ハワイへと続くロードエッセイ。上記「やがて哀しき外国語」の続編と位置付けをされていますが、まったく別として読んでもとくに違和感なく読むことができます。内容は村上春樹のアメリカ生活での話が中心になっていて、車が盗まれて大変な思いをする話や猫にまつわるエピソードなどが綴られています。また、陽子夫人が撮影した写真と安西水丸画伯のイラストがさらに作品に親近感を与える。

今では村上語録でもある「小確幸」(小さいけれども、確かな幸福)という言葉がはじめて登場します。

5. 辺境・近境

辺境近境

>>辺境・近境 (新潮文庫)

村上春樹が1990年代に巡った7つの旅を綴っている「辺境・近境」。国内では山口県、香川県、兵庫県。国外ではメキシコ、アメリカ、中国(及びモンゴル)。そのどれもが違った旅の醍醐味を教えてくれます。正直な語り口で臨場感が伝わってくるのは、旅を通じて村上春樹の生きた文章がそこにあるから。

この作品を読み終えたあと、旅を共にした写真家の松村映三氏が収めた『辺境・近境  写真篇』を手にすると、さらに余韻に浸れます。松村氏の撮る写真はどれも 素晴らしいものがあります。

6. 村上朝日堂

村上朝日堂

>>村上朝日堂 (新潮文庫)

長年タッグを組んでいたイラストレーター安西水丸画伯との初エッセイ集『村上朝日堂』。今でこそ大ベストセラーの人気作家ですが、このエッセイ集を出版した当時はまだまだ駆け出しの作家のひとりにすぎなかった村上春樹。肩の力を抜いて、面白おかしく書いている様子が読む側にもしっかり伝わってきます。

もちろん内容はいつもの村上節炸裂。これを読んだら、意外にお茶目な人なんだなぁと思うはず。笑いが止まらなくなるので、電車の中で読む際は気をつけましょう。

7. 村上ラヂオ

村上ラヂオ

>>村上ラヂオ (新潮文庫)

雑誌『anan』に連載されていたエッセイをまとめた「村上ラヂオ」。村上春樹のイメージを良い意味で裏切ってくれるエッセイ集。挿絵は平凡パンチのイラストでおなじみの大橋歩が担当しています。普段の日常のちょっとした疑問や趣味の話をコミカルに描いていて思わずクスっと笑ってしまいます。さらに興味のある方は、『村上ラヂオ2 』『村上ラヂオ3』と連載をまとめたものがシリーズ化されているので、続編も読んでもらいたいです。おそらく読み始めたらクセになります。

村上春樹のエッセイを読んでいると、この人が学校の教科書を書いてくれたら勉強が好きになったのになぁとつくづく思ったりします。

8. 走ることについて語るときに僕の語ること

走ることについて語るときに

>>走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

村上春樹は専業作家になって以来、日々欠かさずに行っているという『ランニング』。氏にとって走ることとは何を意味するのか。また小説家にとって必要な資質や作家になったきっかけなど赤裸々に綴っています。ひとつのことをやり続けることでそこには少なからず哲学のようなものが生まれると語っているのが印象的でした。

今ではランナーにとってバイブル的な一冊になっていますが、これから何かを始めようとしている人にも読んでもらいたい文章がたくさんつまっています。

9. 村上春樹 雑文集

雑文集

>>村上春樹 雑文集

これまで単行本として発売されなかった未収録の作品、未発表の文章を収めたのがこの『雑文集』。今まで受賞してきた賞のあいさつやメッセージ、音楽について、また自らが翻訳した海外文学に対する思いなどを綴っています。とくに有名なエルサレム賞の受賞でのスピーチ『壁と卵』を読み返してみると、今でも胸が熱くなります。

また終盤のほうで、ジャズピアニストのセロニアス・モンクの言葉を引用して、自身の小説の書き方について語っている部分がとても感慨深いものがあります。けっして雑文とは思えないほど文章の完成度の高さはさすがです。

10. 夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

>>夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 (文春文庫)

普段めったに表舞台に登場しない村上春樹の貴重なインタビュー集。小説のアイデアから生活スタイル、趣味である音楽の話まで内容の濃い話が収録されています。はじめて口にする創作秘話や社会に対しての考え方などは読んでいて素直にうなずいたり驚かされたりします。

あくまで小説を書いている時以外は普通の生活を好む村上春樹にとって、これまで大切にしてきたことがこの本で発見できるでしょう。ファンならずとも第一線で活躍する小説家の物事の捉え方は大いに勉強になります。